目次
登録支援機関の設立要件
登録支援機関として登録を受けるためには、以下の6つの要件を満たす必要があります。
(ア)支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
(イ)以下のいずれかに該当すること
①登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者(就労資格に限る。)の受入れ実績があること
②登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
(ウ)選出された支援責任者及び支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る。)の生活相談業務に従事した経験を有すること
(エ)上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
(オ)1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
(カ)支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
(キ)外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していること
(ク)5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行っていないこと など
※中長期在留者とは、「短期滞在」等の在留資格を除く、中長期間在留し、在留カードを所持している外国人をいいます。
(法務省「登録支援機関向け」より)
上記の要件のなかでも「2年以内に中長期在留者の受入れ実績」の要件については、書面等で追加の証明をしないと審査に時間がかかってしまうことなどもあり、直近では審査基準が厳しくなっている傾向にあります。個々のケースに応じてその他の要件が求められる場合もあるため、申請を検討される際には注意が必要です。
登録支援機関設立の必要書類
登録支援機関の設立を行う際には、下記の資料を提出する必要があります。
(ア)手数料納付書
(イ)登録支援機関登録(更新)申請書
(ウ)法人の場合
①登記事項証明書
②定款又は寄付行為の写し
③役員の住民票の写し
④登録支援機関の役員に関する誓約書
(エ)個人の場合
①住民票の写し
②主たる事務所の住所に係る立証資料
(オ)登録支援機関概要書
(カ)登録支援機関誓約書
(キ)支援責任者の就任承諾書及び誓約書
(ク)支援責任者の履歴書
(ケ)支援担当者の就任承諾書及び誓約書
(コ)支援担当者の履歴書
(サ)支援委託手数料に係る説明書
(シ)法施行規約第19条の21第3号各号(受入れや経験等の実績要件)を証明する書類
(ス)返信用封筒
(出入国在留管理庁「登録支援機関の登録申請に係る提出書類一覧・確認表」より)
内容に合わせて、追加で必要書類等が求められる場合もございますが、最低限として支援責任者、支援担当者は決めておく必要があります。
登録支援機関設立における課題
登録支援機関の設立をしたいという方は多くいらっしゃいますが、設立しようとした場合の課題も多くあります。
要件確認の難しさ
登録支援機関として認可を受けるためには、多岐にわたる要件を満たしている必要があります。例えば、「十分な支援体制が整備されていること」「財務的な安定性があること」「過去に法令違反がないこと」など、具体的な条件が設けられています。しかし、これらの要件が抽象的に記載されていることが多く、自社がどの程度の基準を満たすべきか判断が難しい場合があります。
申請書類の準備負担
申請には、多岐にわたる書類の作成と提出が求められます。具体的には、事業計画書、支援実施体制に関する資料、過去の活動履歴の記録などが含まれます。これらの書類には正確さと一貫性が求められるため、作成にあたって多くの時間と労力が必要です。さらに、提出書類に不備があると申請が遅れたり、不許可の原因になったりするため、細心の注意が必要です。
運営体制の整備
登録支援機関としての役割を果たすには、単に登録を受けるだけでなく、実際の業務を遂行できる体制を整える必要があります。特定技能外国人への支援業務は、生活面や職場環境のサポートなど幅広い内容に及びます。そのため、適切なスキルを持ったスタッフの確保や、支援計画の策定、さらには法令遵守のための教育体制の構築が求められます。これらをすべて準備するには、多大な労力とコストがかかります。
よくある設立不許可の事由
登録支援機関の設立を目指しても、すべての申請が認可されるわけではありません。不許可の事由としては、以下のようなものが挙げられます。
必要な体制の不備
登録支援機関として認可を受けるには、外国人支援を適切に実施できる体制が求められます。しかし、支援計画や実施体制が具体性に欠ける場合、不許可となる可能性があります。また、支援担当者が不足している場合や、必要な資格・経験が不足している場合も問題となります。
書類の不備や虚偽記載
提出書類に不備がある場合や、記載内容に矛盾や虚偽が見られる場合も、不許可の原因となります。例えば、収支計画が不明瞭だったり、事業計画が現実的でなかったりする場合は、入国管理局に信頼性を欠くと判断される恐れがあります。また、意図せずとも誤記や記載漏れがあると、審査が遅れるだけでなく、不認可となるリスクが高まります。
過去の法令違反履歴
登録支援機関の設立申請者や関係者が過去に労働基準法や入管法に違反した経歴がある場合、厳格な審査が行われます。違反内容が重大であれば、設立が認められないケースも少なくありません。法令違反がなくとも、企業や団体の信用性が疑われるような行為があれば、不許可になる可能性があります。
登録支援機関の経済状況
登録支援機関が継続的に業務を遂行できるだけの財務基盤が求められます。資金不足や過去の財務トラブルが審査時に判明すると、申請が却下されることがあります。財務基盤が不安定と見なされることで、外国人支援業務を安定的に提供できないと判断されるのです。
これらの課題や不許可事由を避けるためには、入念な事前準備と正確な申請手続きが不可欠です。専門知識を持つサポートを活用することで、スムーズな登録支援機関の設立が実現できます。
当事務所の登録申請チェック
上記のように、登録支援機関の設立のための要件は多岐にわたり、申請を自分たちだけで進めていくことはなかなか難しいという現状があります。
そのため当事務所では、入管法に精通した士業の専門家が、登録支援機関の設立を検討されている方向けに、「登録支援機関の登録申請チェック」サービスを提供しています。
現在の状況をヒアリングの上で、申請要件を満たしているかどうかの確認と、不許可リスクの抽出を行い、レポート形式にて皆様仁ご提供いたします。
登録支援機関設立を考えているが、要件に不安があるという方は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。